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荒尾第一幼稚園のプロジェクト活動

昨日の続きを、今日も。

昨日つくったものを見て、今日、またやってみたくなる。
試しているうちに、次の「こうしたい」が生まれる。

数日間かけて遊びを育てていくプロジェクト活動は、荒尾第一幼稚園の日々の保育の柱です。ある年の家づくりを、たどってみます。

4歳児の記録|2023年5月〜7月

家をつくった。
そこから、遊びが広がった。

絵本『100かいだてのいえ』をきっかけに始まった家づくり。壁に並んだ家は、天井まで届きました。

でも、これでおしまいではありませんでした。

天井まで続く紙の家のそばで、エレベーターのひもを扱う子どもたち
高くなった家に、動かして遊ぶ楽しみが加わりました。

5月24日|はじまり

どんな家にしよう。

保育者が家づくりのコーナーを用意し、興味を持って集まった子どもたちに、絵本の家を作ってみないかと提案しました。

包装紙、画用紙、ペン。子どもたちは動物の住む家を想像しながら作ります。できた家を保育者が壁に縦に並べると、自分たちの背丈をこえて、どんどん高くなっていきました。

机に広げた紙や描画材料を使って家を作る子どもたち
材料を選び、動物の住む家を作ります。

5月25日〜26日|つくったものが、次の思いを呼ぶ

エレベーターも、動くようにしたい。

高くなった家を見て、「エレベーターもあったほうがいいんじゃない?」という提案が生まれました。画用紙を立体にして作り、まずは壁に貼りました。

翌日には、「このエレベーター動かないから動くようにしたい」。保育者がその思いを周りの子にも伝えると、「滑車みたいにしたらいい」という考えが出てきました。毛糸を使って、動かす仕組みを試し始めます。

5月31日|困ったことから、工夫が生まれる

「いいもの見つけた」

ひもを引くと上がるけれど、下まで降りてこない。先生がいないと、続きを遊べない。

そんなとき、保育室にある材料の中から、車輪のようなものを見つけた子がいました。「これをあそこにつけたらもっといいかも」。遊び続けたいという思いが、材料の新しい使い方につながっていきます。

家の隣の壁に取り付けた滑車と、そこを通したひも
ひもを動かす仕組みに、身近な材料を生かします。

6月上旬|家の周りへ、天井へ

今度は、空があったら。

エレベーターの遊びが一段落すると、家の周りにも目が向きました。「ここは空に住む人たちの家だから周りは空があったほうがいい」。今度は子どもたちの提案で、空づくりが始まりました。

保育者は家づくりの場所を残したまま、空を描く材料も用意しました。一人ひとりが描いた小さな空を貼り合わせると、天井に景色が広がっていきました。

子どもたちが描いた青い空の紙を天井に並べた様子
一枚ずつ描いた空が、家の周りへ広がりました。

6月上旬|さらに、思いついたこと

太陽も、あったらいいかも。

空が増えてくると、太陽を作りたいという提案も。何で作るか、どのくらいの大きさにするか、保育者と一緒に考えました。

赤にするか、黄色にするか。「2つとも塗ったらいいと思う」。塗りながら、混ざった色にも気づいていきます。

丸い段ボールに赤と黄色の絵の具を塗って太陽を作る子どもたち
色を選び、試しながら、太陽を作ります。

6月上旬|月から、宇宙へ

「こっちが宇宙ってこと」

太陽の次は、月づくり。「本物のような灰色にしたい」「黄色にしたい」。違う考えを聞きながら、保育者と一緒に相談しました。

できた太陽と月を、どちらも飾っておきたい。集まりの時間に話すと、太陽から少し離れた場所に月をつける案が出ました。「こっちが宇宙ってこと」「宇宙だったら他にも惑星ある」。空の隣に、宇宙を作る計画が始まりました。

6月上旬〜中旬|それぞれの思いで、一緒につくる

この星を、つくりたい。

保育者が惑星の写真やイラストを見やすい場所に掲示すると、「これは何星?」と見比べる子どもたち。好きな色の惑星を選ぶと、近くの友達も加わって塗り始めました。

惑星を作りたい子も、みんなで色を塗ることを楽しむ子もいます。関わる顔ぶれは、その日によって変わります。

「惑星じゃない宇宙もいる」。背景の星空を描くために、自分で必要な絵の具を探して持ってくる姿も出てきました。以前に経験した、筆と筆をぶつけて絵の具を飛ばす方法も使いました。

6月中旬〜7月上旬|できたものを、もう一度見てみる

太陽は、もっと大きい。

惑星が増えてきたころ、みんなで寝転んで天井を見上げていると、「太陽はもっと大きい」という気づきが生まれました。色だけでなく、大きさの違いにも目が向き、太陽を大きく作り直すことにしました。

大きな段ボールで大きさを決め、色を塗り、模様も試す。途中から加わった友達には塗り方を伝えます。思った仕上がりにならないときには、みんなで話して、塗り直すこともありました。

7月上旬〜下旬|つくった宇宙で、遊ぶ

ここには、宇宙の音もある。

天井の惑星に光を当てると、保育室はプラネタリウムのような空間に。その中で「宇宙の音」と言いながら、貝殻や鈴、身近な素材で音を出して楽しみました。

夏祭りでおうちの方にも見てもらうと聞くと、「宇宙を全部作りたい」「みんなに完成させたところを見せたい」。残りの星づくりへと、遊びが続いていきました。

天井に飾った惑星や星空に光を当てた保育室で遊ぶ子どもたち
紙の惑星と星空に、光が重なります。光る球体は保育室の照明です。

明日も、続きを考えられるように。

この遊びでは、家が高くなったからエレベーターが欲しくなり、動かして遊んだから仕組みを工夫したくなりました。家づくりから空、さらに宇宙へ。作ったものを見直しながら、やりたいことそのものも変わっていきました。

保育者は、子どもの提案を周りに伝え、作ったものや遊ぶ場所を残し、新しい思いに合わせて材料を用意しています。子どもたちと一緒に、遊びの続きを考えています。

記録・写真:荒尾第一幼稚園「『100かいだてのいえ』を作ろう」(4歳児クラス、2023年5月〜7月)。本ページでは5月24日〜7月下旬の場面を紹介しています。

この実践を含む論文の受賞について

荒尾第一幼稚園は、この実践を含む保育実践論文により、2023年度「ソニー幼児教育支援プログラム」(公益財団法人ソニー教育財団)の「優秀園 審査委員特別賞」に選ばれました。

ソニー教育財団の入選発表を見る ↗

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