遊びの保育 環境を通した保育の構造
「遊びの保育ついて」
「遊びはどこでもできるから」と聞くことがあります。
幼稚園では「ただ遊ばせているだけ」ではありません。
保育者が適切に関わることで、遊びは「幼児教育・保育」になるのです。
子どもの育ちを願って、成長に必要な環境をコーディネートしていきます。
「自分で何か感じて、思考し、工夫し、想像して、粘り強く取り組む子どもに育てたい」と願うならば「自分でやっている」という主体的な活動が必要です。
それが遊びです。「主体的な活動」でないと身につかないのです。
必要な環境は、いつでも使える遊具、素材、材料があること、それらを使う時間があることが必要になります。
これらを作るのが「指導計画」「環境構成」です。モノに関わり子どもの活動がはじまります。
やがて「こうしたい」という想いが生まれ、そのための「工夫」が始まりす。
影響を受けて友達もはじめます。ここから「協働性」の芽生えが生まれます。
子どもたちが思ったことに耳を傾け、「こんなこともしてみたい」という思いをとらえたら、またモノや素材など配置します。
「環境の再構成」といいます。子どもたちの思いをキャッチするためには「振り返り」が必要です。
活動を展開させていくには「保育者のかかわり、言葉掛け」や「足場かけ」と呼ばれる関わりが必要です。
それらは、職員同士のミーティングや研修によって磨かれていきます。
遊びの保育は「遊びはどこでもできるから」というものと違うのです。保育者の様々な配慮の上になりたっています。
※イラストは「遊びの保育」を森の探検に例えたものです。「森の探検」が「遊びの保育」とということではありません。
「保育室」環境で配慮していること
保育室で遊ぶ時の保育者の関わりで意識しているところ
【子ども理解を徹底】
遊びの取り掛かりの時には、子どもたちが興味を持ちそうなものをしっかりと把握しておきそれに合わせた関わりをするように意識しています。
子どもたちから出た比喩やアイディアは保育者が言葉にしてたくさん拾うようにしています。子どもたちが話していてもうまく友達に伝わらない時には分かりやすく保育者が言葉にすることで、意味を理解することができ、次への発展に繋がっているように感じます。なるべく多くの子どもたちの声を拾っておくことで、その時には生かされなくても後から生かされることも多々あります。
友達が今何をしているのか、どんなことをしたいと思っているのかを朝の集まりで昨日までの活動の写真を見ながらみんなで確認することで、新たに参加するメンバーが増え、発展していくこともあります。話し合いの仕方も、子どもたちの年齢に応じて保育者が介入することでうまくいくと思います。
「ここにモノがあるけど、君はどう使う?」
環境が子どもたちに語りかけるように様々な素材・製作の材料などを子どもたちが見やすいように配置しています。
子どもの中で想像や工夫・アイデアが生まれ、または何かの比喩が生まれ、そこから遊びや活動が広がったり、深まっていくことを目指しています。
「広がり」は、違う活動や場所が広がっていくこと。興味の範囲が広がっていくこと
「深まり」は、こだわり等を追求。より本物っぽく。
自分が作り出した活動はより主体的な活動となり、その体験の中で自立心、探究心、協働性を育みます。思考力・判断力・表現力等、様々な力を育みます。
「園庭」の遊びで配慮していること
保育者は一緒に遊んだり、
安心できる場所や自分から何かに気づくことのできる環境を作ったり、
どんな言葉をかけることが適切かを考え、子どもたちの育ちにつながる関わりを心がけています。
思うままに砂場で遊び。
泥ダンゴに挑戦。壊れて悔しさを味わい、また挑戦。
雨樋やジョウゴを組み立てながら、思考し工夫し、友達と出会います。
ケイドロ・ドッチボール、缶蹴りなどルールのある集団遊び、
みんなで遊ぶことの楽しさと、
みんなとの遊びを楽しくするために我慢しなければならないこと、
学んでいきます。
年長組の配慮事項・関わり
年長児になると自分達で遊びを進める楽しさも味わうようになってきます。
これまでの経験から、遊びの準備(ドッヂボールのコート、ケイドロのろうやを描く、
缶蹴りの缶を用意する)を保育者がいなくても子ども同士で声をかけ進める姿があります。
そのため、缶や線を引く道具など子どもがすぐに取り出せるところに配置したり、
忘れているときは気付けるような声掛けをしています。
また上手くいかないことがあったも、「どうしたらみんなが楽しく遊べるか」を考えるよう話し合います。
極力子ども同士で話し合いができるように意識していますが、
なかなか解決できない時には状況を整理できるような声をかけをし、子ども達の力で解決できるようにすることを意識しています。
自分達で進めたり、解決できたという実感が遊びの充実感にもつながっていくと感じています。
園庭は心身の健康、運動機能、協働性、思考力等、育ちが集まる広場であり、
異年齢の子どもたちが集まる楽しい路地裏のような場所です。
方針
「目標の子ども像を一言で」と問われたら、健康で優しいのは、もちろんのこと
「自分で物事を考える子ども」になって欲しいと答えます。
「そのため具体的に何をするのか?」
一つの例として、廃材を使って、自分で考えて製作できる環境は大切と考えます。
本園の子ども達は廃材を使った製作が得意です。
環境も活動も、自分で見立てたり・考えたりすることが多くなるようにしています。
創造的想像力を育てたいと考えます。
身体表現活動等では、想像したものを表したり、考えたものを表現したり、
即興性の表現を楽しんだりします。その中で自尊感情を育みたいと考えます。
ごっこ遊びで友達と想像の世界を共有し、想像で遊ぶ楽しさを味わいたいと思います。
物事に感動し、面白く思い、驚き、憧れるといった心情や感性から
物事を深めていく探究心を育てたいと思います。
やってみたくなり、実現したくなる意欲。
さらに何とか実現しようと目標に向かって粘り強く取り組む態度。
その体験の中で「認知能力」と
「学びに向かう力」「非認知能力」が相互に関連しながらが育まれます。
昔ながらの集団遊びを通して、みんなで協力したり、
自分の気持ちをコントロールするなど、この遊びでも「非認知能力」が育まれます。
「非認知能力」生涯にわたって必要な力となります。
缶けり、ケイドロ、ドッチボールなどの集団遊び
砂・泥・水・泥ダンゴ、竹馬、一輪車、ごっこ遊びなど、
その他、名前の付けられない遊びがいっぱい行われています。
保育者は、子どもたちの育ちを促す環境を作り出しています。