荒尾第一幼稚園 保育の発展史

2010年代

【登る運動 ボルダンリグの小屋】

園庭に縦に登る運動遊具がなかったので、園庭環境を考え小屋の壁を利用した「ボルダリング」を設置。

【缶蹴り】

園庭に小屋が出来て、隠れられる場所が出来たので「缶蹴り」を年長組に教えてみました。以後、子どもたちから下の世代に受け継いでいく園の遊びの文化となりました。

【泥ダンゴの白砂】

「斜面上の運動」を使って白砂を採取する方法が始まり、下の世代に受け継がれていく園の文化となりました。

2012年

【数日間に渡る造形活動】

ある大学の先生が講師となった園長研修会の内容を、書類を整理していた事務職員から聞いて知り、興味を持ちました。ちょうど新採で来てもらう先生の出身校だったので、連絡をとってもらい大学の研究室を訪ねました。

(このことがその後の荒尾第一幼稚園を導くターニングポイントになりました)

そこである園の実践が載ったコピーをいただきました。【数日間に渡る遊びの中での劇作りの活動】。舞台の幕の開閉がうまくいかず、何日も友達と協力して取り組んでいることが印象に残りました。

 今現在(2023年)、数日間続く造形活動はあたり前のように行われていますが、この当時はまだ稀にしか起きません。「友達と協力して課題を解決してく」この活動の大切を感じていた頃です。協働性、創意工夫、思考力などを育むために「数日間に渡る造形活動」が起きる保育環境を作り始めました。物的環境、一日の流れ、造形活動のあり方を見直しました。

【七夕会人形劇】

「数日間に渡る造形活動」の取り組みのひとつとして、七夕会に向けて年長組が人形劇を作る活動を行いました。これがのちのiPad映画製作に発展していきます。

【雛人形協同製作】

翌年の夏の教師研修会で実践発表の担当が回ってきました。「協働的活動」というタイトル。どんな実践を発表するか職員で話し合いました。「遊びの場面で『協働的活動』を記録するのは現在の職員の人数では無理」「活動を設定して、その中で記録していくことが現実的」、そんな話し合いから「雛人形協同製作」の案が出ました。私は90年代に行った廃材を準備して行った前の晩、眠れなかった実践を思い出しました。素材に布などをもっと充実させて行えば「いいかもしれない!」とアクティブ・ラーニングの実践が始まりました。実践を担当した担任の指導計画や毎年の実践記録で改善が加えられ、現在の本園の大きな活動に発展しました。

雛人形協同製作活動について

 年長組3学期(2月から3月)、身近な廃材・素材を使って、実際の七段飾りの雛人形と同じ大きさの雛人形を作る2週間の継続した協同製作。この期間、朝の集まり、昼食、帰りの集まり以外、子どもたちの時間の使い方を自由にしている。園の行事、雛祭り集会までに雛人形完成させることを目標とした活動。

ねらい

・友達と協力しながら、共通の目的に向かって取り組み、やり遂げる達成感を味わう

 →出来上がった後に、みんなで喜ぶ瞬間を作りたい。

・友達と思いや考えを出し合いながら取り組んだり、経験したことをさまざまな方法で取り入れながら、できた満足感や達成感をもつ。

・見通しを持ち、計画しながら責任感を持って取り組む。

【年長組「雛人形協同製作」の改善】

2012年 いかに友達と結びつけるかが保育者の課題。

2015年
・単に「友達に聞いてみたら」ではなく、必要感を感じさせることが大切。
・朝の会で「今日頑張ること」を言う時、大雑把なことでなく、できるだけ具体的な言葉を引き出すことが大切。これは、現在の日常のプロジェクト活動につながる。

2017年 製作の過程を写真で記録。

2018年 製作の過程を子ども向けドキュメンテーションに発展。

2020年 製作作業場に子どもたちの休憩所ソファを設置。その前にドキュメンテーションを掲示する。友達のやり方などの情報をドキュメンテーションから得る。この環境から友達と結びつける保育者の関わりが必要なくなる。

「様々なプロジェクト活動」を参照

【運動会「母有志ダンス」】

ダンスの難易度はエスカレートするが踊れるお母さんたち。以後、難易度の調整が「母有志ダンス」の課題。難易度が揺らぎながら楽しい活動として現在に至ります。

【iPadを使った映画製作】

2015年。七夕会人形劇をiPadを使った映画製作にして行う。その中でブルーバックの前で撮影し、子どもが描いた背景と合成します。合成の作業は職員がします。iPadは効果音探しのアフレコに使用。園内で音が出るものや場所を探して録音していきます。映画制作は協同製作であり話し合いの場をたくさん作ります。また創意工夫を必要とする場面もたくさん生み出します。

 映画にしたことで七夕会が4歳児、3歳児にもわかりやすいものになりました。この活動も改善をかさねて、現在の本園の大きな活動に発展しています。

【年長組 箱積み競技】

 協働性を育む機会として、運動会年長組競技に「箱積み」を導入しました。作戦の話し合いや伝え合い、協働性、積み重なった箱から数の概念の理解する機会も見られます。

【ライトテーブル】

2016年に購入。光と影の実践を充実させる。

【写真による保育場面の記録】

担任が全員カメラ(iPod touch)を持つ。

【大型ドキュメンテーション】

保育を保護者に知らせる大型のポスター型ドキュメンテーションを作り始める。保育の振り返りや職員間の共有にもなりが保育の質の向上にもなっていると思われる。

2017年

【白い布の柱の空間】

お遊戯室に、白い布をいくつも垂らし神殿のような空間を作る。動きたくなる環境、隠れたくなる環境。踊りたくなる環境。リズムに合わせたくなる環境。自由に子どもたちの動きや表現を促す環境づくり。

【透明カラーブロック】光と色の実践を充実させる。障子紙のスクリーンを製作。

【電子顕微鏡、すりこぎ、はかり】探究する環境を充実させる。

【工夫を生み出す造形活動】

活動の最初にデザイン画や完成図を描き、保育者とそのデザイン画について話をして、見通し・計画性を育んでから造形活動を行うと、「こういうものになっちゃった」という製作ではなく「こうしたい。どうしよう」という工夫が生まれる活動となることを知る。

【保育者の仕事を見直す(1)】

保育者の仕事の中で減らせること、無くせること検討し、前日の保育の準備時間を確保す。