雛人形製作の内側

雛人形制作の内側  (園通信3月号の加筆版)

園長 宇梶達也

「どうしてここでの出来事がニュースにならないんだろう?」と思えるくらい、今年もいい活動になった雛人形協同製作。日本全国、どこに出しても誇れる子どもたちの育ちが、お遊戯室にあった。

 昔、有名なプロ野球選手同士がバッティング技術について話をしているところを見たことがある。高度すぎて何を話しているかわからない会話だった。雛人形活動の配慮事項はそれと似ているかもしれない。今年、彩希先生の子どもたちとの話の仕方が、いつもと少し違っていた。本人から聞いたことをわかりやすい言葉で表すと、例年、子どもの言う答えをあらかじめ保育者側が知っているような感じで聞いていたところを、「保育者はそのことについて知らない」というスタンスで、話を聞いたという。
 その結果、子どもは自分の考えを話すことになる。それが豊かな表現方法につながり、意欲的になっていった。

「子どもたちの100の言葉」

 たびたび取り上げるが、レッジョ・エミリアの幼児教育を表す言葉だ。きっと多彩な表現という意味だろうと理解していたが、わかるようでいて実際よくわからなかった。しかし、子どもたちの様子を見ていると「子どもたちの100の言葉」って、こういうことか、と思えてきた。子どもたちの考えの中にいくつかの選択肢があって、そのなかから選び取ったやり方で製作しているように感じる。より主体的に生活の中を生きているように見える。社会文化的活動に見える。主体的な姿から対話が生まれ、協同的な姿が生まれる。保育技術は愛情だ。子どものことを知らないと発揮できない。

 雛人形活動は毎年違う。その都度子どもたちが新しいことに気づかせてくれる。活動が終われば振り返り、次回につなげていく。彩希先生に今後の課題を聞くと「材料の置き方、選択のさせ方」と返ってきた。「それはこの活動までにしておくことも関係するね」と話した。現在、保育室で行われている環境にもつながっていく。

できた! ハイタッチ

ひな人形製作2020  (園通信3月号)          増永彩希

 3月3日の朝。出来上がりまであと少しというところまできていて、子ども達も「あとちょっとでかんせいだね」とウキウキ、ソワソワ。まだ完成していない子ども達は朝登園してくると、自然とお遊戯室に向かい製作を始めます。もう終わっている子達も気になってお遊戯室に集まってきて「何か手伝うことない?」「じゃ、たいこ作るの手伝って‼︎」とやりとりがあります。この1場面の中に、「ひな人形を完成させる」という共通の目的に向かってみんなで力を合わせて頑張る姿が集結しているように感じました。

 そして、とうとう7段のひな人形の完成です‼︎‼︎子ども達は完成したひな壇を見つめ満足感、達成感を味わっている様子でした。「やっと完成したね」「すごいね」とそれぞれに喜びを噛みしめているんだなと感じました。
 この活動で毎回思うことですが、毎年毎年それぞれのらしさがにじみ出るステキなひな人形が出来上がります。なので、保育者としての関わりも同じであったり、違うアプローチだったりするので面白いなと感じています。私はこの取り組みを6回経験してきました。そして4回目くらいから、製作においての「提案はしない。確認はする」ということを意識してきました。これは子どもの発想を大事にしながら、作る過程をより大切にしていきたいなと考えたからです。なので、子ども達が作る中でアイディアが思いつかなかったり、どう作っていけばいいのか分からなくなった時に保育者が「こんな風にするのはどう?」などと提案をしないということです。

 この関わりを意識し始めてから、子ども達の作る姿も変わってきたなと感じます。子どもが悩んでいる時は一緒に「どうしようか」と悩みます。するとこれまでの経験から「こうやってすればいいかも」とアイディアが浮かんできたりします。「じゃ、それでやってみよう」と背中を押しやってみようとする気持ちを後押しします。もしそのアイディアがうまくいってもいかなくても、「やってみよう」とする気持ちが大切だと私は思っています。そしてもし上手くいかなかったとしても「じゃ、次はどうしようかな」と試行錯誤する姿に繋がって欲しいと考えるからです。また一緒に悩んでいると、周りにいる友達が「どうしたの?」と声をかけてくれます。そして「う~ん、こうするのはどう?」などと友達も一緒になって考えてくれて、それから相談したり協力しながら作り進める姿に発展していきます。そうして出来上がった人形や道具を見ていくと「そんな作り方があったのか‼︎」と驚く工夫がたくさんあり、毎回「すごいな~」「おもしろい発想だな~」と感心させられています‼︎こうやって一生懸命作っているひな人形だからこそ出来上がりに迫力があり、「すごいな~」と思わせてくれるものが出来上がっていくんだなと感じます♪

 今年もこだわりのつまったすばらしいひな人形が出来あがりました‼︎今はさくら組に飾ってあるので、是非ご覧ください‼︎

「ぜひみにきてください」のポスター

真剣な表情と光

お内裏様、完成の瞬間

工夫、協力、認め合い、粘り強さなど、
さりげなく、自然に。
素敵な子どもたちの姿がたくさん見られた、雛人形協同製作でした。

真剣な表情と光。

雛人形完成

年長組の雛人形協同製作、完成しました。
今日は完成の瞬間をビデオで撮ろうと長い時間、作業している場にいました。
そこでいろんなことを目にしました。

子どもと子どもの間にある育ち。
子どもと作品の間にある育ち。
そして作品を見るとすごい迫力。

「子どもの発想を引き出す」基本中の基本です。

またそこに近づく新しい実践が作品となって完成しました。
また後日、詳しく。