対話・協同的態度の育ち〜年長組でも難しい話し合い
【対話・協同的態度の育ち~年長組でも難しい話し合い】
年長組「運動会競技 箱積み」の作戦会議の場面です。
相手チームに勝つために「積んだ箱の途中を持ち上げて、間に箱を入れていこう」
と話し合っています。
女の子たち数人を中心に話し合いが進み、
「賛成の人?」と女の子が採決を促したところ、
反対側の男の子が「えっ、なに?なに?なに?」と言いました。
進行役の女の子は作戦内容を説明し、
もう一度、「賛成の人?」と挙手による採決をとったところ、
反対側の男の子が手で「バツ」を作りました。
進行役の女の子が「ダメだってぇ~、バツ作ってるよ!」と気がつきます。
ここで先生がバツを作った男の子に、思っていた言葉を伝えるように促しました。
「声が小ちゃくて聞こえなかった」と男の子は言いました。
この話し合いは「作戦会議」なので、隣で同じように話し合いをしているチームに聞こえないように小声で話していました。
他の男の子が「近くに行って話してあげたら」と提案します。
女の子は移動して、もう一度作戦内容を説明しました。
そして採決。全員賛成の手を挙げました。
この動画、男の子の言動が目を引いたので、そこに注目して見ていましたが、
職員でもう一度、詳細にこの場面を見ると、
男の子が「バツ」を作っている場面で、他の女の子が同じように男の子を見ながら「バツ」を作っていることに気がつきました。
進行役女児が移動して説明したあとの挙手では、
一番最初に素早く納得したように手を挙げたのが、この女の子でした。
話し合いは年長組でも難しいものです。
意見を伝えることも難しいですし、意見を聴くことがさらに子どもは苦手と思います。
この時の話し合いが成り立ったのは、なぜか?
箱積みで勝ちたいというみんなの思いが
明確にあったことがひとつあげられると思います。
話し合いの形を整えた保育者の援助も、大きく関係していたように思います。
他の人が言ったこと、していることに関心が向けられていたこと。
他者の言動が受け入れられる基礎が育ちつつあること。
今までの園生活で、クラス活動での小グループでの話し合い、大テーブルの対話が生まれる環境、ケイドロや缶蹴りで起きるトラブルの話し合い、それらを積み重ねて育まれてきた力と考えます。
運動会は「運動会当日の出来栄えが目的ではない」と本園ではよく言います。
それは向かう日々の中で、このような体験をしていくことが保育として大切と
私たちは考えているからです。