遊びの中に生まれる「知識の構造」~敏感期という特別な時間~
ソニー幼児教育支援プログラム 最優秀園 受賞
なぜ、この小さな私立幼稚園が「日本一」に選ばれたのでしょうか?
それは、ここにある遊びが、 これからのAI時代を生き抜くために不可欠な 『科学的探究心』そのものだと、 認められたからです。

遊びの中に生まれる「知識の構造~敏感期という特別な時間~
11月、太陽の高度が少し下がり、
光を反射させて遊ぶには最適の季節。
年長組の子どもたちが見せてくれた、
ちょっと不思議で、とても豊かな遊びをご紹介します。
飛散防止鏡を持って園庭を歩いていた子が、
ふと「太陽の光が壁に映っている」ことに気づきました。
そこから遊びはどんどん広がります。
砂場の大きな山のトンネルに光を入れてみたり、
バスの車庫まで行って、バスの下の「暗がり」を明るくしてみたり。
園庭の影になった場所にも光を当てて、
「ここは明るくなるんだ!」と確かめていました。
大人なら気にもとめない小さな現象に、強い感受性をもって気づく。
これは「感覚の敏感期」の真っ只中にある姿と言えます。
「敏感期」とは、子どもが特定の事柄に対して強烈な興味を持ち、その能力を伸ばすために没頭する、人生で一度きりの特別な時期のこと。
鏡の向きや角度を何度も変えて、
「どうしたら光が届くのか」を自分で試し続ける姿は、
まさに「探究の連続」 。
今の時期、子どもたちは自分の感覚器官(目や手)を洗練させ、
世の中の「物理的な法則」を理解しようとする強いエネルギーに満ちています。
暗い場所をあえて選び、自分の手(鏡)で世界を明るく変えていく。
それは「より高度な課題(制約)を求めている知性の表れ」です。
暗闇を自分の手で照らし出した瞬間の喜びは、
単なる遊びの楽しさを超え、
世界を理解できたという自信(自己肯定感)につながっています。
この時、子どもたちの脳はフル回転し、
光の法則や空間の広がりを猛烈なスピードで吸収しています。
飽きずに繰り返すのは、今まさにその力が伸びている証拠です。
荒尾第一幼稚園が大切にしている
「やってみたい」から始まる学び。
こうした敏感期の力に支えられながら、
日々の遊びの中で探究心を育んでいます。
