影の階段を見つけた日
秋、太陽の角度が低くなってきました。夏とは違い、お昼時でも子どもたちの足元には長い影が伸びています。
そんな環境の変化の中で、年中組の子どもたちが気付きました。
「見て!影が階段になってる!」(写真1)

テラスの上がり口の段差に、自分たちの影が映った時の一言です。
「段差(地形)があること」、そして「その結果どう影ができるか」という関係性を、遊びの中で瞬時に理解した、非常に高度な「気づき」です。
年少組時代の記憶(写真2)、白いシーツにプロジェクターの光を当てて、影遊びを楽しんだ経験がありました。

そして、ハロウィンの演出へ(写真3) 「白いシーツ」と「影」。過去の楽しい記憶と、今のブームが繋がり、自分たちでハロウィンの空間演出に影を取り入れるアイディアへと発展しました。

「小学校で困らないように、勉強は早く始めた方がいいんじゃ…?」そういったお声を耳にすることもありますし、
「わが子に苦労させたくない」と願うからこそ、周囲の声に不安になってしまうお気持ちも理解できます。
しかし、幼児期には特定の事柄に強い興味を示す「敏感期」があり、遊びを通してスポンジのように吸収する時期です。
机に向かってドリルを解くような、特定の決まったやり方を覚える力を「制約ありスキル」と呼びます。「制約ありスキル」も大切ですが、幼児期に最も育てたいのは、今回の影遊びのように、過去の経験と現在の発見を結びつけ、新しい状況に応用していく柔軟な力、すなわち「制約なしスキル」です。
遊びの中で得た点と点の知識が線となり、やがて面となっていく。これを「知識の構造化」と言います。この土台がしっかりしている子ほど、小学校以降の抽象的な学習(算数や理科など)においても、深く理解する力を見せます。
一見、ただ遊んでいるように見えるその時間こそが、実は将来の「確かな学力」の根っこを育てている最も重要な学習時間なのです。
地域の大人がそうやって温かい眼差しを向けるだけで、
幼児期の子どもたちの自己肯定感(ウェルビーイング)は守られ、確かな知識の根っこが、ぐんぐん伸びていきます。
荒尾第一幼稚園は、この時期にぐんぐんと混ざり合って伸びる(制約ありスキル)と(制約ありスキル)を大切に育てています。
