環境が人を創り、人が未来を創る

~荒尾第一幼稚園が大切にしている「環境を通した教育」について~

子どもたちが夢中で遊んでいる時、そこには単なる「楽しさ」以上の深い学びがあります。

荒尾第一幼稚園は、「環境を通して行う教育」という専門的な保育実践のアプローチにより、

子どもたちが本来持っている可能性を引き出す保育を実践しています。

1.「環境」は、子どもたちの世界の扉。飛び立つための「滑走路」です

私たちの保育室には、ダンボールや廃材、様々な道具が意図的に配置されています。

これらは単なるモノではありません。子どもたちの「やってみたい!」という意図を引き出し、

今の自分の力だけでは到達できない場所へ手を届かせるための「足場」です。

例えば、3歳児クラスでの「消防車作り」。最初は大きな箱に入って遊んでいただけの子どもたちでしたが、

先生が箱に「窓」を開けた瞬間、子どもたちの目の色が変わりました。
「これは運転席だ!」「消防車を作ろう!」と、ただの箱が「仲間と協力して作り上げるプロジェクト」へと生まれ変わったのです。

私たち保育者は、子どもたちが自ら考え、動き出すための「環境(仕掛け)」をデザインしています。

与えられた正解をこなすのではなく、環境との対話を通して、自分たちで正解を創り出す経験こそが、本当の知性を育むと考えています。

2. 「ないなら作る」「壊れたら直す」という園の文化

現代は、何でも既製品が手に入る時代です。しかし、本園の子どもたちは「消費者」ではなく「創造者(クリエイター)」として育ちます。

遊びの中で必要な道具がなければ、自分たちで作ります。
作ったものが壊れたら、捨てずに修理します。そして、役目を終えた製作物は「ゴミ」にするのではなく、
解体して「次の新しい作品の素材(リサイクル)」へと変身させます。

このプロセスを通して、子どもたちは「失敗してもやり直せる(レジリエンス)」という回復力や、
「自分たちの手で世界は変えられる(自己効力感)」という自信を、理屈ではなく身体感覚として獲得していきます。

3. 「個」の衝動から「私たち」の協同へ

最初は「自分がやりたい」という個人の衝動から始まります。しかし、魅力的な環境と保育者の適切な関わり(仲立ち)があることで、
その情熱は周囲へ伝播し、やがて「みんなでやりたい」という「協同的な学び」へと進化します。

  • 役割を見つける力: 「僕はライトを持つ係」「私はテープを貼る係」と、自分たちで役割を見つけます。
  • 折り合いをつける力: 意見がぶつかった時、どうすれば解決できるかを自分たちで話し合います。

これらは、教科書で学ぶ知識ではなく、将来どのような社会に出ても必要となる「他者と協働して新たな価値を生み出す力」の土台となります。


私たちが目指す保育

一見すると、ダンボールや泥だらけになって遊んでいるだけに見えるかもしれません。しかし、その瞬間、子どもたちの頭脳はフル回転し、心は大きく揺れ動き、未来を生き抜くための「根っこ(資質・能力)」を太く、深く伸ばしています。

私たちはこれからも、子どもたちが環境との予想不可能な出会いを通して、「驚き」や「発見」という心の探検ができるように、質の高い保育環境を創造し続けていきます。