運動会で育てたいこと

今日は種目「挑戦」を本番と同じように行いました。
今までの練習の成果を発表。
年少組が順調に進まないでいると
「○○ちゃん、がんばれ!○○ちゃん、がんばれ!」と
観ている席の子どもたちから揃えた声が沸き起こりました。
子どもたちを誇らしく思いました。

運動会前に職員で確認していること。

運動会で行うことをただ繰り返すだけの練習はしない。
練習中に子どもを待たせて職員が集まって話し合いをする練習は絶対にしない。
前もって、計画やねらいを立て打ち合わせをしておくこと。
運動会に向けて気持ちの高まり・期待感、意欲を育むこと。

運動会までの生活を保育として組み立てている先生たちです。

数年前からiPadを保育に取り入れています。

運動会前に、年長組は「運動会に向けて何をかんばろうと思っているか?」を
絵に描いています。運動会が終わった後でなく、始まる前にです。
一般的に、単なる行事を題材にした絵の活動では描きたくないと手が進まない子も出てしまうと言われています。
しかしながら、この活動を始めて数年間、一人もいません。

何度でもやり直せるデジタルの絵画と、
運動会への意欲を大切に育んでいるからだと思います。

テラスの壁には子どもたちの好きな入場行進の曲の歌詞をイラストで貼り出しました!

見方・考え方を生かして

暑い日。
バケツに水を汲みペットボトルと漏斗を3歳児クラスの子どもたちのそばに置きました。

一人は水道まで走って行き、ペットボトルに水を汲んで戻ってきてバケツに水を入れることをひたすら繰り返しています。

一人はバケツにペットボトルを沈めて、ボコッ、ボコッと水が入る様子を真剣に見ています。そして違うペットボトルの注ぎ口を合わせて、水を移すこと試みています。

それぞれ真剣に何かを感じ、試みています。

「この場の環境はこのままで良いかも」と私は思いました。
水遊びをもっと面白くするために本園には雨樋があります。
でも、3歳児のこの二人は、今、自分なりに思ったことを試して
探究、推論する力などにつながる体験をしています。

3歳児前半は雨樋を自分で出すことは難しいので、保育者が環境を作る必要がありますが、今回は遊びの停滞か区切りまで待とうと思いました。

見方・考え方を生かす保育は、子どもの中に何が起きているか、読み取って行う保育と考えます。些細なことに思えるかもしれませんが、子どもの育ちにとって、とても重要と考えています。

探索・探究・深い学び

入園説明会を令和3年10月23日(土)午前10時からオンラインで予定しています。くわくしは、ホームページの「入園のご案内」をご覧ください。

さら砂の採集

探索・探究・深い学び (園だより「風の顔通信9月号」原稿に加筆しています)

園長 宇梶達也

 荒尾第一幼稚園では子どもたちがすぐ遊び出せるようにできる限り物を出している。製作の材料、道具、画材。園庭でも保育室でも。学校の理科室のように大切な器具が棚にしまわれていると、幼児は「○○をつかいたいから、出して」と言うことがまだ難しい。目の前にあることでそれを触りたくなり使いたくなり、遊びが始まる。

 「これで何ができるだろう?」「これはどうか?」と目の前の物や事象の可能性を探ることを「探索」という。「これどうやって使うのだろう?」と物の性質や特徴を知ろうとしたり、「こうやってみたい」「こうやるといい」「どうすればそれが解決するか」と見通しや目的意識を持った活動を「探究」という。探索活動で気づき、発見、試行錯誤を行い、探究活動で予想・予測、比較、分類、確認などを行っている。幼児期の自発的な遊びは「1+1=2」を暗記させることよりも、はるかに大切な力を働かせている。探索から探究を経て課題を解決していく。探索と探究を比べると探究の方が高いレベルにあるように感じるが、探索でどれだけ豊かな体験をしているかがその後の「深い学び」に関係してくると思われる。これは本園の協同製作の実践を丁寧に振り返って得た実感である。「探索」の活動は、一見困っているように見える。困りながらも「深い学び」につながる知識の素が蓄積されている。その子の中にある既存知識と新しい知識が結びつくことで深い学びが生まれる。新しい知識は他者や物との対話によってもたらされる。

 本園の子どもたちは泥ダンゴ作りの時、木片を斜めにしてそこに砂を乗せ、振動を与えて、細かい粒の砂と荒い粒の砂を分離して「さら砂」を採取している。質量が大きいものが下に行く力が大きくなる三角関数の「斜面上の運動」を利用している。この場、この状況だけで知っている知識であって、数学のテストをしても答えることはできない(拡大解釈するとこのことを「領域固有性理論」と呼ぶのかもしれません。勉強中です)。この体験が「斜面上の運動」を学習する時に結びつくと、深い理解を伴った学びになることは想像できる。関連づける学習は精緻化戦略と呼ばれ、難しい問題を解く力になるという。OECDの調査によると日本の子ども達は自分で関連づけて学ぶことが少ないと指摘されているそうだ。関連づける知識の基礎は幼児期の多様な体験、探索で蓄積される。「関連づけること」そのものだと、物の見方や考え方、対話の機会が関係してくると思われる。

 幼児期の遊びの探索・探究には「斜面上の運動」のようにわかりやすいものでなくても、「深い学び」につながる知識の基礎がたくさんある。現在の教育で大切な「主体的・対話的で深い学び」。目的は「深い学び」だが、出発点は主体的な活動になる。探索や探究が始まるように子どもたちの興味関心や生活、育ちの段階から環境を考えて保育を行うのが環境を通した保育になる。

 本園の実践と以下の文献から得た知識で書いています。間違っている解釈があれば、私の勉強不足です。

参考文献

「幼児教育のデザイン」無藤隆
「幼児期の深い学びの検討探究過程の分析」日本教材文化研究財団
「深い学び」 田村学

「自分でできたよ」と「ひとりでできたよ」の違い

園庭の黒っぽい土に水を少しずつ混ぜてチョコレートに見立てる遊びが年少組で行われています。水の加減にコツのいる遊びです。

ケーキ屋さんを開くとき、毎日保育者と数人の子どもたちでチョコレートになるトロトロを作っていました。今日は保育者が先に違う遊びをしていると、近くまでやってきて「これ自分でできたよ」と教えてくれました。もう一人の子も「ひとりでできた」と保育者に見せにきてくれました。

年少組 ドキュメンテーションより

ここに出てくる「自分でできた」と「ひとりでできた」は同じ意味に聞こえますが子どもから見ると違う意味のようです。

「自分でできた」と表現した子どもは、いつも保育者と2人で作業していましたが、この日は保育者がいなくても全部1人でしていました。

「ひとりでできた」と表現した子どもは、上手にできる子の様子を見ながら真似てしていたが、この日は水加減を自分で考えて作っていました。

担任が作ったドキュメンテーションを見て職員で話し合って、気がつきました。

「できた!」と子どもたちはよく報告に来てくれます。その思いをより近くに受け止めて

向き合っていきたいと思います。