人形劇 映画作りの記録 (年長組6月~7月)

人形劇映画作りの記録 (年長組6月~7)

『たなばたこびとのおはなし』

実践者 年長組担任 増永

『共通の目的に向かって友達と一緒に取り組もうとする気持ちを持つ』

 これをねらいに、友達と一緒に協力すること、工夫すること、思いや考えを伝えることを意識してこの活動に取り組みました。

 さくら組になってから初めてのクラス全体での協同活動です。友達と一緒に取り組む楽しさや大変さを感じ、より友達との関係が深まればいいなと思いました。

初めての協同活動

   今回、登場人物はiPadで描いたものをプリントして人形にしました。背景やその他必要なものはその物にぴったりだと思える材料を選んで作っていく方法で取り組みました。

 製作中の子ども達の様子はとても意欲的で、自分達であれこれ「こうしよう」と決めて作業を進めていました。また、普段絵で苦手意識があるような子でも楽しんで描いていたように思います。

 昨年までは登場人物の大きさにまでこだわって作っていたので、中には何度も同じ作業をやり直さなくてはならない状況もあり、「やりたい」という意欲が薄くなっていく姿もあったように思います。

 しかし今回は製作にiPadを導入したことで製作の苦労が軽減され「やりたい!」という意欲が持続できたのではないかと思いました。 

 今回は年長組になって初めての協同活動で、友達と一緒に同じ目的に向かって取り組むもうとする気持ちを育むことがねらいです。友達と一緒に協力しながら進めていくことの楽しさを十分に味わってほしいということを大切にしたかったので、この手法でよかったと思います。

練習開始

   劇に必要なものを作り終える頃に練習も始めました。練習でもそれぞれが役割を持ち、みんなで作っていく過程を感じてほしいという思いを持って取り組みました。

 話の内容を4つの場面に分け、各場面で役を決めて練習を始めました。小さなグループでの練習を繰り返し、撮影の時にクラス全員で進められるように取り組みました。

人形劇をやっていく中で、人形の見せ方や動かし方が難しいと感じていた子ども達。その日の振り返りでビデオを見ながら「どうしたらいいかな?」と話し合います。

 そして、その反省を次の日の練習前にみんなで確認する。それを繰り返していくと「頭見えてるよ」「次、セリフだよ」と子ども達同士で声をかけあう姿も出てきました。

撮影、効果音探し

 撮影はみんな楽しみにしていたので、長い時間でしたが集中してそれぞれに役割を果たしました。

   そして最後に、撮影した映画に音を入れる作業です。

 まずは音に親しみを持てるように、楽器や音の出るものを沢山用意しました。それらを吊るしておくことでいろんな音の出し方に気づいたり、ドラマーのように叩いたりと面白い活動でした。

そしてここでみんなで取り組めるように「1人1つは映画に使える音を見つける」という課題を出しました。

 ただ音を出すだけではなく「これ星が流れる音みたい」「足音ってこんなじゃない?」などと使えそうな音を意欲的に見つけていたように思います。

 そして録音では自分達が作った音が映画の中に入っていく感じが不思議でもあり、嬉しくもあり、自分たちで映画を作り上げていく楽しさを十分に味わっていたと思います。

振り返って普段の遊びの中で育つ力

   このようにみんなで同じ目的に向かって取り組むためには、普段の遊びの中での友達同士の関わりが大切だと感じます。

 さくら組になって特定の安心できる友達だけでなく、いろんな友達と関わりながらルールのある遊びを楽しんできました。

 その中で何かうまくいかないことがあると一緒に「どうすればみんなが楽しめるかな」と考える機会を作ってきました。

 初めは相手の気持ちを受け入れられず自分の「こうしたい」という気持ちを強く出すこともありました。しかし、それではどんどん遊び仲間が減っていき遊びが楽しくなくなるという経験をします。

 そしてその経験から、次は友達の思いや考えに耳を傾け、少しずつ折り合いをつけながら遊びをすすめていくようになったなと感じます。

 そんな中で取り組んだ『たなばたこびとのおはなし』の映画作り。

 友達と相談したり、教えあったりしながら取り組む姿は遊びの姿とつながっているように感じました。

 そして、映画作りが終わった後の子ども達の様子がまた変わったように感じます。

 仲のいい友達との関係を深めながらも、さらにいろいろな友達と積極的に関わっているところです。

 そして友達と遊ぶ楽しさを感じ、自分達で仲間を集めて遊びを始めたり、保育者がいなくても遊びが長く続くようになりました。

 遊びの楽しさで集まる「遊び仲間」が作られつつあるのではないかと感じています。