物語で遊ぶ「かえるくんとさくら組の神隠し」実践記録3
年長組は「千と千尋の神隠し」を元にしたストーリーで遊びました。子どもたちは事前に内容を知りません。活動は今まで保育や遊びの中で行ってきたもので構成しています。
以下、解説を交えてレポートします。
ロープの術は運動遊び。
気がつかれないようにカオナシ までたどり着くのは缶蹴りの缶を蹴るのと一緒!
子どもたちの大好きな忍者ごっこのような遊びです。
河の主が心付けにおいて行ったニガダンゴをカオナシ に食べさせて、飲み込まれた千尋を助ける任務です。
千尋がカオナシ からでてきました。
「カオナシ を助けるにはバルーンエネルギーが必要」と千尋。
「みんな得意だね、頼んだよ」と先生。
「バルーンエネルギーが上手くいくように。千尋と先生とぼくは、クロカゲリンがこっちこないよう見張りに行きましよう」とかえるくん。
そして、「さ」組だけになりました。
バルーンを上に飛ばすには、タイミングを合わせる必要があります。声をかける先生はいません。子どもたちだけで、友達の様子を見て、息を合わせて掛け声をかけます。中に入ったら楽しいという気持ちを抑えて、「みんなといる自分」ということを感じる年長組の育ちが必要な場面です。
バルーンは大成功!
何もかも飛んでいきました。そして静かになったカオナシが近づいてきました。
「遠くの静かな場所に連れて行っておやり。3本目の木が過ぎたところの駅で降りるんだよ」と銭婆。
みんなで電車に乗りました。
窓の外に流れていく木を数えます。
子どもたちはあまり活動しませんが、物語をしめくくる重要なシーンと思っています。
電車から降りて、かえるくん・カオナシ と静かにさよならする「さ組」。
そして片足ケンケンをしてお家の人たちのところに向かいます。
「お家の人のところで『ただいま』と言う。『おかえり』という声が返ってきたら、術が解けてお前たちも元に戻っていいるだろう」と銭婆。
この『おかえり』は事前にお願いしていませんでしたがみごとな保護者たちでした。
お父さん、お母さんに呼ばれて自分の場所に戻る千尋。
活動だけを考えるといらない場面ですが、「心の空間」を作るならばこういうことを大切にしなければならないと思っています。あんまりこだわりすぎると人に迷惑かけてしまうのでほどほどにしないといけませんが。これは保育も一緒で、どこまでディテールを丁寧にできるかが大切と思っています。
最後のこだわり。視線をどこに持っていけば、いままでの出来事を振り返っているように見えるのか、千尋役に何回かやってもらって作りました。