道具「はさみ」が作る育ちの機会

ハサミが日常的な使えることは、子どもの育ちにとってとても重要なことです。
「ハサミがあること」ではなく、「日常的に使いたい時に使えること」が大切です。
次のドキュメンテーションをもとに職員で話し合ってみました。

平面から立体へ

もも組(年中)7月5日ドキュメンテーション

少し前までは壁に貼ってあった家に自分がつけたおばけを貼ってごっこ遊びを楽しんでいた子ども達ですが、
最近は牛乳パックやヨーグルトのカップなどを使って、立体的な家を作ることを楽しんでいます。

人形も紙に描くだけではなく、立つように小さな筒につけるなどの工夫をして動かして遊んだり、
家は2階建てになるような工夫もされています。

遊んでいくうちに立体的な家の方が立つ、動かしていて楽しいという気持ちに変わってきたのかなと思っているところです。

また、「こうしたい」と伝えるだけではなく「こうしようと思ってこのやり方にした」と教えてくれたり「この方法じゃできなかったんだけど…」と保育者に丸投げではなく相談しようという姿勢で伝えてくる姿もありいいなと思います。

同じ遊びでも形をどんどん進化させて継続されているのがいいなと思います。

ハサミの環境がもたらすこと

環境
ハサミには切るものが必要です。ここでは色画用紙、カップ、段ボール、カラービニールなどの素材、そして、テープ、糊もいつも置いてあります。

この環境から育つもの

工夫、思考力、予測、試行錯誤、大きさの感覚、図形への感覚、色彩の感覚、伝え合い、相談。

集中力…ハサミを使う時、子どもはすごい集中している。初めての作業の時、ものが二つに分かれていく不思議さ、楽しさ(きってはいけない物を伝える配慮も必要)。

想像力、見通し…ハサミの技能が身につくことで、作れるもの、やれることが広がる。想像力が広がる。

【自立心】
自分で切れた!自分で作れた!完成した時に味わう自立心。その自立心・自尊感情が、優しさのベースになるのではないか。
(仮説:ハサミが幼児期に自由に使えることとイジメは関係があるのか)

様々な育ちは「主体的な活動」で子どもに身につく。子どもから自分でやろうとしたことが大切。
充実感や達成感が次の意欲を生み出す。そこでまた様々な体験をしていく。

ハサミは使い方によって危険なものです。ハサミを置いておくには、安全への配慮と
子どもたちの情緒が安定する園生活が必要になります。

園生活の一場面ですが、1年間で見ると、たくさんの育ちの機会になると思うのです。